日用品に使われる“エシカルでない”素材を知って環境問題を考える

日用品に使われる“エシカルでない” 素材

以前、エシカルライフについての記事で、環境にも人にも配慮した購買活動を実践するためには商品のどのような点に注目すれば良いかご紹介しました。

地球にも人にもやさしい「エシカルライフスタイル」を実践しよう – MRDULA

今回は、”エシカルでない”素材や成分に焦点を当て、私たちが日常的に消費している衣服や洗剤、食品が地球環境や生態系にどのような影響を与えているのかを考えていきたいと思います。

マイクロプラスチックの流出と海洋汚染

衣服の合成繊維・塗料・加工剤には多くの化学物質が使われています。その多くは自然に分解されることがないため地球環境に残り、問題を引き起こします。

中でも、ポリエステル、ナイロン、アクリルといった合成繊維を洗濯する際に発生する「マイクロファイバー(微小繊維)」海洋汚染に深刻な影響を与えています。洗濯槽一杯分の衣服の洗濯で約70万個のマイクロファイバーが放出されると言われており、その一部が河川に流れ込み、やがて海に放出されます。

海に流れ着いたマイクロプラスチックは、海洋生物に捕食され、それが蓄積されていくと海洋生物の生態系に影響を与えてしまいます。また、それらの海洋生物を食べることで人の口にマイクロプラスチックが入る可能性もあります。

プラスチック素材は上記のような問題を抱えているため、捨てられたペットボトルや古着からポリエステルを再生し新しい衣服に再利用するアパレル企業も近年増えてきました。

出典:環境負荷が非常に大きいアパレル産業 世界と日本が始めた対策とは – HATCH


コットンの栽培が抱える問題

化学繊維だけでなく、天然繊維のコットンも問題を抱えています。コットンの原料となる綿花の栽培には、非常に多くのを使用します。Tシャツ1枚に必要なコットンの栽培には、約2,700リットルの水が必要です。コットンの栽培は、インドや中央アジアなどもともと水資源が乏しい地域で盛んに行われており、過剰な水の利用による水資源の枯渇がその地域の人の生活や生物に深刻な影響を与えます。他にも、コットンの栽培には多量の薬物が使用されることでの生産者への健康被害や、児童労働の問題も発生しています。

世界基準のオーガニック認定をクリアした「オーガニックコットン」の利用が増えれば、地下水や河川から供給される水の使用量を従来のコットンよりも9割削減することが可能です。また、労働者の健康や安全に配慮されていることや、児童労働を禁止していることもオーガニックコットンの基準となります。


出典:コットンって環境に悪い?サステナブルファッション視点でのコットンの生産と利用

「水」から考えるファッションのサステナビリティと、6つの実践。 | Vogue Japan


パーム油が生物の多様性をなくす?


パーム油は世界で一番使われている植物油です。製品の原料表示では、植物油、マーガリン、界面活性剤などの名称で記述されるので、「パーム油」という名前を目にすることは少ないでしょう。食品、洗濯用や掃除用の洗剤、シャンプー、石けんなど、私たちの身の回りのあらゆるものに使われています。

パーム油の原料はアブラヤシの果房で、アブラヤシはインドネシアやマレーシアなどで栽培されます。こうした地域は、生物多様性の高い熱帯林が広がる地域ですが、アブラヤシの栽培のためにその多くが伐採されています。もともとあった木々の多様性が破壊されることで、生物の棲家や食べ物がなくなり、その地域に生息していた生物の消失を招くという問題を抱えています。

パーム油は従来の石鹸の主成分ですが、パーム油フリーの石鹸などを選択することがこの問題の解決策として挙げられます。


出典:パーム油の問題とは?私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの


私たちにできることを考え続けよう

今後もMRDULAのコラム記事では、エシカル消費やエシカルライフスタイルについて、消費者ができること、企業や各国の取り組みについて考えていきたいと思います。